気づいたら相手に振り回されてる自分がいる。
気づいたら相手のことがどんどん好きになっていて、多少のことなら気にならなくなる…そんな経験、ありませんか?
たとえば――
- デートの予定が急に変わっても「まあ仕方ないか」と受け入れてしまう
- LINEの返信が少し遅くても「きっと忙しいんだろう」と自分を納得させてしまう
- ちょっとワガママを言われても「そんなところも可愛いな」と思えてしまう
一見すると「恋は盲目」なんて言葉で片づけられそうですが、実はこれ、心理学的に説明できる現象なんです。
そのカギとなるのが 「サンクコスト効果」 と呼ばれる考え方。
本来は経済学の用語ですが、恋愛に当てはめてみると「なぜあの人に夢中になってしまうのか」が驚くほどスッキリと理解できるんです。
この記事では 「サンクコスト効果が恋愛でどう働くのか?」 という疑問について解説していきます。
最後まで読むことで、恋愛をもっと冷静に見つめ直したり、相手との関係をより良くするきっかけになるような内容です。
ぜひ最後までお付き合いください。
サンクコストって何?
まず「サンクコスト」という言葉から見ていきましょう。
日本語では「埋没費用」と訳されていて、ざっくり言えば 「もう取り戻せない投資」 のことを指します。
時間でもお金でも労力でも、一度かけてしまったものは基本的に戻ってきませんよね。
それなのに、私たちは「ここまでやったんだからやめられない」と感じてしまうことが多いんです。
たとえば――
- スマホゲームに課金して、途中でやめるのが惜しくなる
- クレーンゲームでなかなか景品が取れないのに、つい何度も挑戦してしまう
- 1時間も並んだラーメン屋。味がイマイチでも「せっかくだし美味しいって思おう」と自分に言い聞かせる
こうした経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか?
頭では「やめてもいい」「損しているかも」と分かっていても、心のどこかで「もったいない」という気持ちがブレーキをかけてしまうんです。
これこそが心理学でいう サンクコスト効果 なんですね。
ここまで読むと、「あ、恋愛でも似たようなことあるかも」と感じた人もいるかもしれません。
では、このサンクコストが恋愛にどう影響しているのかを見ていきましょう。
恋愛に応用するとどうなる?
サンサンクコスト効果は「お金や時間」だけの話ではありません。
実はもっと見えにくい「感情」や「エネルギー」にも当てはまります。
恋愛で考えるととてもわかりやすいんです。
好きな人とやり取りをするために時間を使ったり、会うために予定を合わせたり、ちょっと無理をしてでも相手に尽くしたり…。
そうやって積み上げた行動は、目に見えない投資のようなもの。
その投資が増えるほど、「自分はこの人を大切に思っている」「だから簡単に手放せない」という気持ちが強くなっていきます。
たとえば――
- 何度も会っているのに告白してもらえなくても「もう少し待とう」と思ってしまう
- 相手から小さなお願いをされると「いいよ」とつい応じてしまう
- わがままに振り回されても「まあ、これくらいなら我慢できる」と許してしまう
こうした積み重ねは、冷静に考えると「損をしている」ように見えるかもしれません。
でもサンクコスト効果が働くと、むしろ「ここまで関わってきたのだから諦める方がもったいない」と感じてしまうのです。
恋愛って、気持ちが盛り上がる一方で、こうした心理的な仕組みが無意識に作用していることが多いもの。
だからこそ、サンクコストを理解すると「なぜ私はあの人に惹かれてしまうのか?」という疑問がスッと腑に落ちるはずです。
では、この心理を意識的に活用するとどうなるのか――
【注意】相手をハマらせるテクニック
サンクコスト効果は、無意識のうちに相手を惹きつける力になります。
実際にモテる人の中には、この効果を“自然と”使っている人が多いんです。
「そんなこと意識したことないよ」という人でも、行動をよく観察してみると心理学的に理にかなっていることが少なくありません。
ここでは、代表的な2つのテクニックを紹介します。
1. 小さなお願いから積み重ねる
心理学では「フット・イン・ザ・ドア」と呼ばれる手法です。
最初は簡単に応じられる小さなお願いから始め、徐々に大きなお願いにつなげていく流れ。
「ちょっとこれ持ってて」
「今度、一緒に寄り道しない?」
「よかったら週末、買い物に付き合ってくれない?」
こうして段階を踏んでいくと、相手の中では「ここまで協力したんだから断りにくい」という感情が積み重なっていきます。
気づけば「つい手を貸してしまう存在」になってしまうのです。
2. 余白を残す
次に大事なのは「すべてを見せない」ということ。
人は「あと少しでわかりそう」「もうちょっとで手に入りそう」と思うと、そこに強く執着する傾向があります。
例えば――
・すぐに返信せず、少しだけ間をあける
・自分のことを話しすぎず、少しミステリアスにする
・会える時と会えない時の“波”をあえて作る
こうした余白は「もっと知りたい」「次はどうなるんだろう」という気持ちを刺激します。
恋愛においては、この“もどかしさ”こそが相手の心を惹きつけるポイントになるのです。

「もう少しで届きそうなのに…なかなか手に入らない」
この感覚が、相手の頭の中にあなたを残し続ける仕掛けになるんですね。
ただし、ここまで読むと「じゃあ積極的に使えばいいんじゃない?」と思うかもしれません。
でも――ここには大きな注意点があります。
次の章では、このテクニックを悪用するとどうなるのか、そして潜むリスクについて触れていきます。
でも…危険な落とし穴もある
ここで一番大事なのは、サンクコスト効果を「どう扱うか」です。
うまく使えば恋愛を盛り上げるスパイスになりますが、やりすぎると関係を壊す“毒”にもなりかねません。
たとえば――
- 「相手をもっとコントロールしたい」
- 「自分がいないとダメなんだ」と思わせたい
- 「逃げられないように縛っておきたい」
こんな気持ちが強くなると、最初はドキドキして楽しかった関係が、いつの間にか重く苦しいものへと変わってしまいます。
お互いに依存し合って抜け出せなくなる、いわゆる「共依存」に近い状態になってしまうんですね。
心理学者のアルフレッド・アドラーは、
「健全な人間関係は、支配でも依存でもなく、対等で協力的であるべきだ」
と説いています。
つまり、相手にコストをかけてもらうこと自体は悪いことではありません。
むしろ自然な流れとして起こることも多いです。
ただし、それを「相手を縛りつけるため」だけに利用すると、一時的には効果があっても、長期的には関係が壊れてしまう可能性が高いのです。
大切なのは、サンクコスト効果を「相手を操る道具」ではなく、「お互いを理解し合うきっかけ」として意識すること。
ここを間違えなければ、むしろ二人の絆を深めるヒントとして活かすことができます。
まとめ:サンクコストと上手に付き合う
今回ご紹介したサンクコスト効果は、シンプルに言えば 「投資した分だけ愛着が深まる心理」 です。
恋愛に置き換えると、相手に時間や気持ちを注ぐことで「この人をもっと大切にしたい」という感情が自然に強くなっていきます。
だからこそ、この心理を上手に活かせば、関係を育てるきっかけになります。
小さなお願いやちょっとした我慢を通じて、「一緒にいるからこそ得られる安心感」や「積み重ねたからこそ生まれる絆」を感じられるようになるのです。
ただし、忘れてはいけないのは“バランス”。
相手を縛りつけるように使ってしまうと、支配や共依存につながり、関係そのものが苦しくなってしまいます。
恋愛において本当に心地いいのは、 「お互いが自由でありながら、それでも一緒にいたいと思える関係」 ではないでしょうか。
「自分は恋愛が苦手かも…」と思うときほど、心理学の知識を少し取り入れると視点が変わります。
完璧でなくても大丈夫。
ほんの小さな気づきや行動が、相手との距離を少しずつ縮めてくれるはずです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの恋愛が、より心地よく、前向きなものになりますように。