
日本のヒップホップシーンで、いま大きな注目を集めているのがラッパーNENEさんとSKY-HIさんを中心としたディストラック(ディス曲)の応酬です。
今回はその経緯や背景を、なるべくフラットで分かりやすい形でまとめてみました。
目次
✅ NENEさんとは?
NENEさんはヒップホップユニット「ゆるふわギャング」のメンバーとしても知られるフィメールラッパー。
2016年頃から活動を本格化させ、鋭いリリックとアンダーグラウンドなパーティー主催など、現場主義のスタイルで支持を広げてきました。
2024年にはトラックメーカー・Koshyさん全面プロデュースのアルバム『激アツ』をリリースし、日本最大級のヒップホップフェス「POP YOURS」に出演するなど、存在感を増しています。
✅ きっかけは6月20日公開の「OWARI」
6月20日、NENEさんはミュージックビデオ付きで「OWARI」という楽曲を発表しました。
この曲は、冒頭から「ねぇクレジット入ってないじゃん」「ラッパー?自分でリリック書いてないのに」といった辛辣なラインで始まり、強烈な批判を展開。
特に注目されたのが、具体的に
- ちゃんみなさん
- SKY-HIさん
- BMSG(SKY-HIさんが代表を務める音楽プロダクション)
といった実名をリリックに盛り込み、ストレートに批判した点です。
中には「Bitches/Market/Stealing/Group(※頭文字をとると”BMSG”)」といった皮肉を込めたワードプレイも含まれており、一気にビーフ(ラッパー同士のディス合戦)へと発展しました。
✅ 背景にあった「HANA」のMV演出問題?
今回のビーフの背景としてファンの間で取り沙汰されたのが、BMSG傘下のガールズグループ「HANA」の存在です。
HANAは、ちゃんみなさんがプロデューサー、SKY-HIさんがエグゼクティブプロデューサーを務める7人組グループ。
オーディション番組「No No Girls」から誕生し、2024年10月にデビューを発表していました。
NENEさんのファンの間では、HANAの楽曲「Burning Flower」におけるMV演出や「フック」などが、NENEさんの過去作品やスタイルと似ているのではないか、という指摘がありました。
NENEさん本人もこれを「アイデアを盗まれた」と感じたのではないか、という推測が出ています。
ただしこれは公式に「盗用」と認められた話ではなく、あくまで当人やファン間での主張・憶測が中心です。
✅ ちゃんみなさん・SKY-HIさんの反応
6月22日には、ちゃんみなさんがインスタライブでファンの質問に回答。
「NENEさんとは一度挨拶した程度で、電話番号は知らない」と述べ、曲中で言及された「電話しろよ」というフレーズを否定しました。
また、「パクリ」疑惑についても否定しています。
さらに6月23日、SKY-HIさんは「0623FreeStyle」というフリースタイル曲をYouTubeで公開。
この曲の中で、
- 「1、2曲のTikTokやfeat.のヒットでHottestって笑わせる」
- 「あっちーあっちー/寄んなハイエナ」
など、NENEさんの「OWARI」の内容を受けて反論するようなリリックを披露しました。
楽曲クレジットにも「Special Thanks NENEさん」と皮肉を交えて記載するなど、大きな話題になりました。
✅ そして6月29日、新曲「HAJIMARI」発表
この流れを受けて、NENEさんが6月29日に発表したのが新曲「HAJIMARI」。
これは「0623FreeStyle」へのアンサーソングとして位置づけられています。
リリックでは、
- 「AAAからトリプルB級」と、元AAAのSKY-HIさんを揶揄
- 「あのアワードにも疑問ばっか/I’m a pop でも部門はHIPHOP?」
など、音楽業界全体やジャンル分けの在り方への不満も込められています。
また、「笑えないお前らのファンの民度」「全然ファンに響いてないじゃん」といったラインで、対立するファン層への批判も鮮明になりました。
✅ ビーフが巻き起こした反響
この一連のディス合戦は、アーティスト間だけでなくファンダム(ファン同士)の間にも波紋を広げています。
SNSでは、両陣営のファン同士が意見を戦わせる場面も見られ、ヒップホップ文化の「ビーフ」をめぐる受け止め方や、アーティストへのリスペクトの在り方など、さまざまな議論が起こっています。
✅ 再生回数も急上昇
この論争は大きな注目を集め、YouTubeの再生回数にも反映されています。
- SKY-HIさん「0623FreeStyle」は220万回再生を突破、音楽急上昇ランキング1位
- NENEさん「OWARI」は173万回超え
- NENEさん「HAJIMARI」も投稿から約20時間で40万回以上を記録
ヒップホップリスナーだけでなく、普段はラップをあまり聴かない層にも話題が広がっているようです。
✅ まとめ:今後の行方は?
現時点でちゃんみなさんはアンサー曲を発表しておらず、NENEさん、SKY-HIさんの「次の一手」があるのかも注目ポイントです。
ヒップホップの「ビーフ」は表現や思想のぶつかり合いを通じてシーンを活性化させる文化的側面もありますが、SNS上の過剰な誹謗中傷や分断は懸念も呼んでいます。
今後、アーティスト同士がどのようにこの状況を昇華させていくのか、多くの人が見守っています。